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COLUMN

2026年物流ロボット市場予測:注目技術とビジネス機会を徹底分析

世界の物流業界はいま、大きな転換点を迎えています。
電子商取引(EC)の拡大、慢性的な人手不足、そしてAIや自動運転・センシング技術の進化が重なり、「人が担ってきた物流の現場」をロボットが支える時代へと移行しつつあります。

その象徴が「物流ロボット市場」です。2026年を目前に、倉庫・工場・配送センターなどの自動化が世界的に進み、市場規模は約200億ドル(約3兆円)に達すると想定されています(※グローバル市場は 出典1の国際調査を参照照照)。

さらに国内市場においては 、矢野経済研究所「物流ロボティクス市場に関する調査を実施(2025年)」の分析によると 、国内市場が2023年度比で約1.5倍に拡大する見通しを示しており、特にAMR・AGF・自動仕分けシステムの導入が急速に増えている状況です(※出典2より)。

本稿では、

・グローバル調査をベースにした世界の成長カーブ
・国内調査機関が示す日本市場の実態と課題

の2つを切り分けて参照しながら、日本特有の構造変化や導入ハードル、そして今後3年間に広がる技術とビジネスの可能性を多角的に考察していきます。

目次

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1.世界市場の俯瞰:2026年に向けた成長カーブ

国際調査機関 Grand View Research(2024年版 “Logistics Robot Market (2025–2030)”) によると、
物流ロボット市場は2024年時点で約145億ドル、2030年には350億ドルへ拡大すると予測されています
(※出典1より)。
この予測期間(2025〜2030年)の中間年にあたる2026年時点では約200億ドル前後が現実的なレンジとみられます。

地域別に見ると、米州・欧州・中国・アジア太平洋地域それぞれが独自の成長要因を持ち、特にアジア圏の伸びが顕著です。

地域別トレンド

 🟩 米州:Amazon RoboticsやLocus Roboticsなど、AI物流の先端企業が市場をけん引。
 🟦 欧州:環境規制やサステナビリティ志向が自動化を後押し。
 🟥 中国:政府支援と製造業主導によるロボット普及が急速に進展。
 🟧 アジア:ASEAN諸国が新興物流拠点として存在感を拡大。
 🟥 日本:労働力減少を背景に、「導入第二波」が本格化。

日本市場では、2026年には3社に1社が何らかの物流ロボットを導入していると推計されています(※出典3より)。

 

2.​成長ドライバー:拡大を支える5つの力


1️⃣ ECとオムニチャネルの拡大
世界のEC取扱高は2020年代後半にかけて年間10%以上の成長を維持しており(※出典4より)、短納期・多頻度配送に対応する自動化ニーズが急速に高まっています。

2️⃣ 人手不足と労務環境の限界
先進国を中心に物流従事者の高齢化が進み、労働集約型モデルの限界が顕在化しました。今後は、24時間稼働できる自律搬送システムの整備が競争力を左右します。

3️⃣ センシング技術と自律制御の進化
LiDAR、3Dカメラ、SLAM(自己位置推定)などの進化により、ロボットがリアルタイムに環境を把握・判断できるようになり、AGV(無人搬送車)からAMR(自律移動ロボット)への転換が加速しています。

4️⃣ サステナビリティと省エネ化
脱炭素・省エネの観点から、電動化・軽量化・再エネ対応型ロボットの導入が広がりました。ロボット導入は「生産性向上」と「環境配慮」を両立させる手段として注目を集めています。

5️⃣ データ連携とシステム統合
物流ロボット単体での運用から、WMS(倉庫管理システム)やERP、MESとのデータ統合による「協働型自動化」へ進化しています(※出典5より)。

3.​注目の3大技術トレンド

LOGITOでは、次世代物流を支える主要3領域として以下の技術分野に注力しています。

■ パレットハンドリングロボット

フォークリフトが担ってきたパレット搬送を自動化する技術です。
パレットの認識・積み替え・運搬を一連で行い、倉庫内オペレーションを標準化します。

一般的なAGFに比べて狭い1.8m通路で走行可能な設計により保管スペースを最大約19%拡大し、切り返し不要の走行制御によって位置決め時間を約81%短縮(±5mm精度)、さらに日本規格の各種パレット形式に対応しつつ、フォークセンサーが傾きを検知して車体を自動調整する安全機構を備えた高効率・高精度な自律搬送ロボットです。固定ルートに依存せず、人や障害物を検知しながら安全に走行できる柔軟性を備えています。

このような高精度ナビゲーションと動的タスク割り当ての仕組みが、「柔軟な経路制御」として現場のレイアウト変更や混在稼働への対応力を高めています。


■ 屋内外対応AMR/AGF

屋内外をシームレスに移動できるAMR/AGF(自律搬送ロボット/無人搬送 フォークリフト)が注目されています。

防塵防水規格IP54・動作温度-20〜50℃に対応した全天候型設計で雨天や積雪下でも安定稼働し、3D-SLAM+RTK+IMUによる±5cmの高精度測位とLiDAR・安全バンパーなど4段階保護による自動回避機能を備え、最大荷重2t・揚高3.2m(TMN-F20)や牽引6t(TMN-T60)・積載2t(TMN-C20)の屋外ガイドレス走行に対応、さらに15%勾配や50mm段差・水深100mmまで走行可能で、48Vリチウムイオン電池により最長8時間稼働・約2時間で満充電を実現する高耐環境・高効率AMR/AGFです。

LiDAR・RTK・IMUなどマルチセンサー融合による自律測位技術を採用し、屋内外を問わず安定した搬送を実現します。

LOGITOでは、屋内外対応のAMR/AGFを活用し、荷受けから出荷までを一気通貫で自動化。倉庫と屋外ヤードをつなぐ“最終区間の効率化”を実現しています。

■ 空中搬送・物流システム

床面を使わず、天井付近に軌道を設置して荷物を自動搬送する「空中搬送システム」は、倉庫空間を立体的に活用できる次世代ソリューションです。

LOGITOが提案する空中搬送・物流システムは、既存倉庫に後付け可能なモジュール構造を採用し、設備更新を最小限に抑えながら空間効率を大幅に高めます。

このシステムは、フォークリフトやAGVが占有していた床面を開放し、天井付近の空間を活用することで、現状比で積載効率 5倍・入出庫率30倍の改善を実現。

さらに、自動倉庫のような大規模設備投資を必要とせず、最短1日で組立が完了するため、稼働停止期間を最小限に抑えた導入が可能です。

モジュールを追加することで柔軟にラインを拡張でき、物量増加にも即応。搬送・積み下ろしの自動化により、最大90%の人件費削減効果も期待できます。

LOGITOは、この空中搬送システムを通じて、限られた床面を“第三の搬送レイヤー”として再構築し、生産・搬送・保管の同時最適化を実現しています。

 

4.​倉庫規模・業種別の導入傾向

業種別動向

・EC・小売業:SKU増加に対応し、ピッキングロボット+AMRの併用が主流。

・製造業(自動車・電機):重量物搬送にAGFやパレットロボットを採用。

・食品・医薬品業界:衛生基準対応のクリーンAMRが台頭。

5. 日本市場の現状と課題

日本では、2024年の「物流の2024年問題(時間外労働上限規制)」を契機に、自動化投資が急増しました。
しかし、その裏で課題も浮き彫りになっています。

・初期投資負担の大きさ

・倉庫レイアウト変更コスト

・社内オペレーション改革の難易度

導入に成功した企業は、ROI計算・段階導入・教育プログラムを一体で進めており、今後は「全面自動化」よりも「協働型ハイブリッド運用」への移行が主流になる見込みです。 

6. 新たなビジネス機会

物流ロボットの普及は、ロボットメーカーだけでなく「導入支援」「現場運用」「データ統合」などの新たな産業を生み出しました。

・導入支援サービス:倉庫診断から導入設計・施工までを一括提供。

・ロボット・アズ・ア・サービス(RaaS):初期費用ゼロの月額制モデルで中小企業導入を促進。

・データ利活用サービス:稼働ログ解析による稼働率改善・最適化を支援。

特に日本では、「導入パートナー(Integrator)」の存在が成功の鍵を握っています。

LOGITOでは、課題分析から導入設計、アフターフォローまでを一貫して伴走し、現場課題の解決から運用定着までをトータルに支援しています。

7. 2026年の展望と行動提言

2026年は、物流ロボットが“導入フェーズ”から“運用最適化フェーズ”へと進化する転換点となります。 

物流企業が取るべき3ステップ 

  1. 現場を可視化し、課題を特定する
  2. パイロット導入でROIを検証する
  3. RaaS・レンタルを活用し、段階的に拡張する

ロボットメーカー・SI企業が取るべき3ステップ 

  1. 導入から教育・保守までの包括支援体制を構築する
  2. クラウド連携・API公開により柔軟性を高める
  3. 稼働データの分析を「継続サービス」として収益化する 
     

8. 新たなビジネス機会

物流ロボットは、もはや“導入するかどうか”を検討する段階を過ぎつつあります。いまや、企業が競争力を維持し続けるための重要な仕組みのひとつとなっています。

これからの時代に求められるのは、導入スピードよりも持続的に成果を出せる運用構造を築くことです。

LOGITOが掲げる「見える化・自動化・最適化」という思想のもと、テクノロジーを現場に溶け込ませ、データを経営資源へと変えていく“次の物流モデル”が動き始めています。

現場が変われば、物流が変わり、そして産業全体がより強く、しなやかに進化していきます。

2026年――それは、次の常識が形になる年です。 

参考出典一覧 

No 

出典名 

引用箇所 

出典内容要約 

1 

Grand View Research, Logistics Robot Market (2025–2030), 2024 

 

世界市場規模推計(145億→350億ドル) 

 

市場規模とCAGR15.9% 

 

2 

矢野経済研究所 物流ロボティクス市場に関する調査を実施(2025年)  

国内市場成長率(2023年度比約1.5倍)  

日本市場の導入動向と需要予測  

3 

U.S. Logistics Robot Market Size & Outlook 2024–2030 

日本の導入率推計(3社に1社) 

地域別導入率比較 

4 

Professional Services Robotics Market Statistics 2024 

成長ドライバー(EC・システム連携) 

EC成長率・統合化動向 

5 

Grand View Research, Robot as a Service Market to Hit $4.12 Billion by 2030, 2024 

RaaS導入・収益モデル 

月額課金モデルの普及データ 

 

 

 

 



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