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自動化の初期費用は高い? 回収期間の算出と本当に失敗しない導入判断とは

近年、物流業界では特に自動化ソリューションの導入が重要視されています。

一方で、初期導入コストも大きいため「コスト回収にどれくらい時間がかかるのか」「本当に回収できるのか」という不安から一歩を踏み出せない企業も少なくないようです。

しかし、この大きいと言われている初期導入コストは、果たして本当に高額なのでしょうか?今回は、コスト削減効果やコスト回収期間の算出について具体的な計算式や数字から考察していきます。

目次


1.物流現場における自動化の現状

今回のテーマである「導入コストが本当に高いのか」という考察に入る前に、まずは物流現場における自動化システムやロボット導入の現状について整理しておきます。

どのような背景で自動化ニーズが高まっているのか、また国内における普及状況を確認していきましょう。

1-1.物流現場で拡がる自動化ソリューションの利用

物流業界における自動化システムやロボット活用は、人手不足の深刻化、品質要求の高度化、生産コストの抑制といった課題を背景に、年々拡大しています。

例えば、IDC Japanが発表した2024年 国内エンタープライズAIシステム市場予測によれば、AI関連市場は前年比成長率20%を超え、ビジネスプロセス最適化への活用が急速に進んでいます。

現場では自動搬送ロボット(AMR)、AGVなどの導入が進み、ハードウェア・ソフトウェア一体型の自動化ソリューションが広がっています。

さらに物流倉庫では、倉庫管理システムなどを活用し、業務最適化に取り組む事例が増えています。

このように、物流業界における自動化は、単体の機器導入ではなく、システム全体の最適化という視点で進化しています。

1-2.日本の物流業界における自動化が遅れ気味な理由

自動化・スマートファクトリー化は世界各国で加速していますが、日本では特に中小物流業において導入が進みにくい実態も指摘されています。

物流業界では依然として電話・FAX・紙ベースの業務が主流で、デジタル化はあまり進んでいないのが実態です。(参照元:国土交通省「物流業務のデジタル化の手引き」)実際、民間調査では「現在DX(デジタルトランスフォーメーションに)取り組んでいる」企業は36.8%にとどまり、約6割超の企業は未着手という結果が報告されています。(参照元:Hacobu「物流DX実態調査リポート」(2023年)

つまり物流企業の約3割程度しかデジタル技術導入に踏み出せていない状況です。

日本国内で自動化が進まない主な理由としては、以下が挙げられます。

・自動化設備導入にかかる初期コストの高さ

・既存設備との連携にかかる技術的ハードル

・導入後の保守・運用体制の未整備

・ロボットやシステム運用人材の不足

特に、「費用対効果が見えづらい」「導入後の運用に不安がある」という声は多く、現場としては「必要性は感じつつも踏み切れない」というジレンマを抱えている企業が少なくありません。

そこで本稿では、これらの課題の中でも特に初期導入コストの妥当性に焦点を当て、実際の導入効果や投資回収期間の考え方を通じて、自動化投資の現実性を検証していきます。

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2.自動化による7つのコスト削減効果

高額といわれる導入コストの回収を考える上では、自動化によって期待できる具体的なコスト削減効果を正しく理解することが重要です。

以下に7つの主な削減効果を端的に整理しました。

【一覧表】自動化によるコスト削減の7つの効果

効果カテゴリ概要
① 人件費の削減人手の工程を自動化し、人員数を最適化。採用・教育コストも削減できる。
② 生産効率の向上24時間稼働・高速処理により生産量UP。AMRやAGVで物流も効率化。
③ 在庫管理の効率化WMS/WCS連携により在庫の可視化と搬送の自動化で工数・スペースを削減。
④ 品質向上・ミス削減RFIDやバーコードで追跡精度を高め、誤出荷やクレーム対応コストを低減。
⑤ エネルギーコストの削減動線設計+IoTセンサーで空調・稼働エネルギーの無駄を抑制。
⑥ ダウンタイムの最小化常時監視によって機器トラブルを未然に察知、停止ロスを削減。
⑦ 間接コストの削減離職率の低下、安全性向上、スペース活用などによる隠れたコスト最適化。


こうしたコスト削減効果は、現場の改善だけでなく、初期導入費用を補って余りあるリターンにもつながります

では実際に、自動化投資はどのくらいの期間で回収できるのか?

次章では、具体的な投資回収期間算出方法とその考え方について詳しく解説します。

3.自動化ソリューションの投資回収期間の考察

前章でご紹介したように、自動化システムは人件費・在庫管理・エネルギーなど多方面においてコスト削減効果をもたらし、企業の利益体質を強化します。

では、これらの効果によって「初期投資をどのくらいの期間で回収できるのか?」という点について、具体的に見ていきましょう。

3-1.投資回収期間の算出方法

投資回収の判断には、ROIReturn on Investment=投資回収率)などの指標がよく用いられます。ここでは以下のような計算式を使って、回収期間や投資効果を定量的に捉えることが可能です。

ROI = (総利益 − 総コスト)÷ 総コスト × 100

ここでの「総利益」と「総コスト」は次のように定義します:

総利益

 削減できる人件費や在庫管理コスト、生産性向上による収益増加など、導入効果の合計

総コスト

 初期投資(システム購入・設定費用・トレーニング費用)+ 運用中の保守・維持費用の合計

3-2.自動化システムの投資回収期間のシミュレーション例

項目金額(年間)
初期投資額1,000万円
保守費用150万円
人件費の削減効果250万円
その他コスト削減・生産性向上効果100万円
合計削減効果350万円

 
今回は、導入5年間を想定して算出します。

■ 総コスト:

初期費用 1,000万円 保守費用 750万円(150万円×5年) = 1,750万円

■ 総利益:

削減効果(人件費+その他) 350万円 × 5 = 1,750万円

 ■ ROIの計算

ROI = (1,750万円 − 1,750万円) ÷ 1,750万円 × 100 = 0%

つまり、5年間でちょうど投資額を回収できるシナリオになります。

 
なお、6年目以降も同程度の効果が継続する場合、たとえば6年目には以下のような利益が見込まれます。

ROI(6年目)=(2,100万円 − 1,900万円)÷ 1,900万円 × 100 ≒ 10.5%

■ 総コスト:初期費用 1,000万円 保守費用 900万円(150万円×6年) = 1,900万円

■ 総利益:削減効果(人件費+その他) 350万円 × 6 = 2,100万円

 このように、導入効果が継続する限り、回収後はプラス利益に転じるという期待が持てます。 

3-3.投資回収の計算の注意点 

実際の投資判断にあたっては、以下のような将来変動のリスクも考慮する必要があります。

・需要の変動(受注量・稼働率)

・人件費や資材価格の上昇

・装置のメンテナンス・更新コスト

そのため、楽観・中立・悲観の複数のシナリオを立てて試算する「ケース別ROI分析」や、各要素の変化がROIに与える影響を可視化する「感度分析」を活用すると、より現実的な意思決定が可能になります。

4.LOGITOが提案する初期導入コストを抑えるアプローチ

物流業における自動化投資は、初期費用が高額であっても、長期的には十分なコスト回収が可能とされています。

しかし、それでも初期投資の大きさから導入に躊躇する企業もあるでしょう。

LOGITOでは、この初期導入コストが高額になりやすいという課題解決に対し、次のようなアプローチを行い、それぞれの企業に最適な自動化システムの提案を行っています。

4-1.費用対効果のシミュレーション

LOGITOでは、導入前にコスト削減効果や投資回収期間をデータ分析に基づいて綿密にシミュレーションしています。

導入費用、運用コスト、人件費削減効果などを考慮し、費用対効果を明確にすることで、最適な導入規模や導入時期を判断することができるのです。

4-2.段階的な導入

一度に導入するのではなく、段階的に導入することで初期投資を分散させることができます

例えば、まずはピッキング作業など、特定の工程に絞ってソリューションを導入し、効果検証後に他の工程へ展開していく方法が有効です。

段階的な導入は、コントロールする側の負荷を減らせる上、途中で軌道修正することも可能です。

4-3.既存設備の活用

既存の設備を最大限に活用することも、初期投資を抑える有効な手段です。

LOGITOでは様々な機器との連携も可能なソリューションを提供しています。

例えば、既存のコンベアシステムにAMRAGVを組み合わせることで、大規模な設備投資なしに自動化を実現できる場合があります。

既存設備の活用は、投資額を抑えるだけでなく、導入期間の短縮にも繋がります。

また、LOGITOではスペースの問題など、各企業にあわせた提案も可能なため、設備に対する初期導入コストを抑えられる可能性があります。

5.コスト削減も視野に|自動化で期待できる効果と導入のサポートは「LOGITO」

物流業界における自動化は、人手不足や顧客ニーズの多様化から、もはや避けられない経営課題となっています。

しかし、導入を検討している企業からすれば、初期投資の負担に大きな懸念を感じてしまうこともあるでしょう。

適切なソリューションの導入により、生産性向上、品質管理の効率化、作業効率・精度向上など、投資を上回るリターンが期待できます。

もし、「自社に合う自動化できる工程はどこか」「どんなソリューションがあるのか」といった段階であれば、まずは投資すべき部分を明確にすることから始めましょう。

以下のお役立ち資料をダウンロードいただき、自社の課題に適した自動化のヒントをぜひご確認ください。

効率化の可能性や具体的な導入例をイメージしていただける内容となっています。



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