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製造業・物流業の人手不足が起こるのはなぜ?人手不足の理由と対策方法を紹介



製造・物流業界では今後深刻な人手不足に直面することが予想されます。日本全体で少子高齢化が進む中、求人をかけるだけでは人手不足に対応することが困難です。本記事では、製造・物流現場の人手不足が深刻化する原因や、問題解決のためのヒントをご紹介します。



目次


製造業・物流業が人手不足なのはなぜ?

多くの製造業・物流業の企業が人手不足に直面していることは、データからも明白です。具体的な課題としては、「2030年問題」・「技能を指導する人材の不足」の兆候が非常に顕著となっております。



2030年問題



2030年問題とは、2030年頃に日本で生じる可能性の高い社会問題を総称した言葉です。
少子高齢化が進み、人口減少社会に突入した日本では、現在約7,000万人いる労働人口が2030年には約6,300万人にまで減少すると予測されています。約10%の減少率です。

また、2030年問題は労働人口の減少だけにとどまりません。これまでの製造業や運輸業は、労働人口の大半を成年男性が占めていましたが、今後はその割合が減少し、女性やシルバー層、外国人などの割合が増加すると考えられます。
そのため、成年男性に依存していた力仕事を、そのままの形で女性やシルバー層に担わせることは難しく、また日本語に熟達していない外国人に仕事を担わせる課題もあります。


 

技能を指導する人材の不足

製造業において、能力開発や人材育成に関する課題を抱える事業所の割合は、近年一貫して70%を超えており、2021年度の調査では84.8%と、2008年度の調査以降で最も高い水準に達しています。さらに、製造業は他の産業と比較しても、この問題が一貫して高い割合を示しています。

また、能力開発や人材育成に関する問題点を詳しく見てみると、「指導力のある人材が不足している」が62.4%と最も高く、その次に「人材育成のための時間が不足している」、「人材を育てても離職する」、「魅力的な人材が集まりにくい」という順番になっています。特に、「指導力のある人材が不足している」と「魅力的な人材が集まりにくい」については、他の産業と比較しても高い割合を示しています。




画像引用元:経済産業省 2023年版 ものづくり白書 令和4年度 ものづくり基盤技術の振興施策

こうした問題が迫っていることから、製造・物流業界では人材確保が急務ですが、以下に示す要因から、なかなか人が集まらないのが現状です。

製造業・物流業における人手不足の3つの原因

製造・物流現場の人手不足に拍車をかけている原因として、主に以下3つがあります。

少子高齢化が進む

社会全体として少子高齢化が進展していますが、製造・物流の現場では特に顕著です。
たとえば、製造業における65歳以上の割合と15~34歳までの割合を見てみると、65歳以上の割合は2000年4.5%だったものの2019年には8.8%と約2倍の割合になっています。15~34歳までの割合も2000年は30%以上だったものの、2019年は24.8%と減少していることがわかります。

出典:経済産業省 第1節 デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性

若年労働者が少なく、中高年層が多いと、近い将来労働者の多くが定年退職し、必要な人数を確保することが困難になります。シルバー層にとって力仕事の多い物流関連の業務は体力的に厳しいことや、中高年層の退職により技術の継承が進まないことも課題です。

長時間労働が常態化

製造や物流の現場では、長時間労働も常態化しています。慢性的に発生している人手不足の問題を解決できないため、人手が足りないために1人あたりの業務量が増え長時間労働が常態化しがちです。
また、長時間労働が常態化することにより、従業員の離職率が高まり、さらに人手不足と長時間労働が深刻化するという悪循環に陥ることも少なくありません。人手不足の問題を解決するためには、労働時間の改善は重要なポイントになります。

業界イメージが悪い(3K)

製造や物流業界は人々の生活を支える極めて重要な職種ですが、肉体労働が多く「きつい」「汚い」「危険」の「3K」のネガティブイメージを持つ方が多いです。こうしたイメージが業界全体にあると、若年層はなかなか集まりません。特に、女性が活躍しにくいイメージがある点も問題です。

ICT・IoT・AIなど最新技術を活用することで働きやすい環境を整備し、「3K」のイメージを払拭することが求められます。

以上のように、製造・物流業界は若年層の就職希望者が集まらず、少子高齢化により将来的な人材確保が困難という負のスパイラルが発生しています。

製造業・物流業の人手不足の影響

製造業・物流業において、人材不足が及ぼす影響がどのようなものがあるのでしょうか。について解説します。

競争力低下のリスク

若手人材の不足により、中堅社員が新入社員の役割まで負担する必要があります。優秀な人材も現場仕事を手伝わなくてはいけない状況になり、本来なすべき業務に専念する余裕が失われ、会社の競争力が次第に低下します。

生産キャパ・出荷能力の低下

特に中小企業では、正規雇用の採用が限られており、現場での人手不足が深刻です。受注が好調で事業が順調であっても、この人手不足のために生産ラインや出荷作業が適切に維持できない場合があります。製造業や物流業における人手不足は、企業の競争力や持続可能性に大きな影響を及ぼす問題であり、解決に向けた戦略的なアプローチが求められています。

物流の人手不足を解決するポイント

労働人口減少の中で、新たな採用の機会を探すために「シニア世代」「女性」「外国人」という3つの人材層に焦点を当てる企業も多いでしょう。しかし人材不足の負のスパイラルから脱するためには、労働力を集めて対応するのではなく、労働者の負担低減や人依存の作業をなくす物流の自動化を推進することが重要です。主な取り組みとして、以下2つの物流業務の自動化があります。

ロボットを活用する

重量物の搬送やデータ照合など、負荷の大きな業務や単純作業をロボットによって「完全自動化」することで、工程全体のスピードが上がり、従業員の負担が減ります。従業員の業務負担が軽減されることで長時間労働が是正され、人手を確保しやすくなります。単純作業をロボットが担うことで、人が付加価値の高い業務に集中できるようになる点もメリットです。

また、人からロボットへの完全自動化だけではなく、人が行う高度な作業を支援する「協業化」も可能です。支援を行うことで作業効率が向上し、属人的な業務もなくせるため若年層の活躍も期待できます。

近年、搬送工程の自動化ソリューションとして、AGVが注目を集めております。AGVの詳細については以下記事で解説しております。生産ラインの搬送や構内物流の搬送でお悩みの方はぜひご覧ください。

AGV(無人搬送車)とは?AMRとの違い・導入メリット・活用事例を紹介

物流システムを活用する

構内物流には大きく『入荷・在庫・出荷・棚卸』の機能・工程があり、これらをトータルで管理するソフトウェアを「WMS」と呼びます。

ロボットや物流システムの活用により製造や物流工程を省力化・省人化することで、これまで人のスキルや経験に頼ってきた業務を標準化でき、少子高齢化や人手不足に対応できるようになります。
また、各工程の従業員の負担を見える化することで、適切な人材配置が実現でき長時間労働を軽減することが可能になります。

IoT・AI・物流システムなどのテクノロジーを活用することで物流モデルを大きく変革することを「物流DX」と呼びます。2030年問題に対応するうえでは、物流DXを行い、人に依存しない物流現場を構築することが重要です。

WMSについては以下の記事で詳しく解説しています。

【事例付き】WMS(倉庫管理システム)とは?導入メリット・構築の流れを解説

LOGITOの物流自動化で人手不足の問題を解決

エンジニアリング機能を持った機械商社の第一実業では、物流自動化ソリューションのLOGITOを提供しています。総合機械商社ならではの豊富な知識と経験をもとに、各現場の技術支援や負荷低減、課題解決に向けた最適な提案が可能です。

また、現状分析からレイアウト提案、設備選定、施工、アフターメンテナンスまで一気通貫でサポートできる点も特徴です。

物流自動化による人手不足解消にご関心の方は、以下資料をぜひご覧ください。

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