COLUMN 物流自動化に関するお役立ちコラム
目次
トヨタ自動車は、「工場IoT」を活用して生産効率の向上と品質管理の強化を実現しています。具体的には以下の
取り組みを行っています。
・生産ラインの各工程にセンサーを設置し、リアルタイムでデータを収集
・収集したデータをAIで分析し、生産効率の改善点を抽出
・不良品の発生を予測し、事前に対策を講じることで品質向上を実現
この取り組みにより、トヨタ自動車は生産効率を約15%向上させ、不良品率を約30%削減したと報告されて
います。
三和工機株式会社は、3D CADソフトウェアの導入と社内人材育成を通じて、設計力の強化とDX推進を実現
しました。
主な取り組みは以下の通りです。
・最新の3D CADソフトウェアを導入し、設計プロセスをデジタル化
・社内エンジニアに対して、3D CADの操作研修を実施
・若手エンジニアと熟練エンジニアのペア制度を導入し、技術伝承を促進
これらの取り組みにより、設計時間が約40%短縮され、設計ミスも大幅に減少したと経済産業省の事例集で紹介
されています。
株式会社アイデンは、「IWS(Intelligent Work System)」と呼ばれる独自の生産管理システムを開発・導入し、
生産性の向上と業務の効率化を実現しています。IWSの主な特徴は以下の通りです。
・生産設備の稼働状況をリアルタイムで可視化
・作業指示をデジタル化し、ペーパーレス化を推進
・AI機能を活用し、最適な生産計画を自動で立案
IWSの導入により、アイデンは生産リードタイムを約30%短縮し、在庫回転率を約20%向上させたと同社のプレス
リリースで発表されています。
株式会社IHIは、社内人材のデジタルスキル向上を目的とした教育プログラムを実施し、DX推進の中核となる
人材を育成しています。主な取り組みは以下の通りです。
・全社員を対象としたデジタルリテラシー研修の実施
・データサイエンティスト育成プログラムの導入
・外部専門家と連携した実践的なDXプロジェクトの推進
この取り組みにより、IHIは社内のデジタル人材を3年間で約500名増加させ、複数の事業部門でDXプロジェクト
を成功させたと報告されています。
オークマ株式会社は、「IT Plaza」と呼ばれるデジタル技術の実証・展示施設を設立し、顧客と共にDXを推進する
取り組みを実施しています。IT Plazaの主な機能は以下の通りです。
・最新のIoTやAI技術を活用した製造ラインのデモンストレーション
・顧客企業のDX推進を支援するコンサルティングサービスの提供
・デジタル技術の研究開発と実証実験の場としての活用
IT Plazaの設立により、オークマは自社のDX推進だけでなく、顧客企業のDX支援ビジネスを拡大し、新たな収益
源を創出したと同社のニュースリリースで発表されています。
製造業でDXを導入している企業はいくつもあり、その取り組みは企業によって様々です。今回取り上げた事例
では、いずれもその企業が抱える課題解決にDXが寄与し、成果を上げています。
その取り組みと成果についてまとめた表が下記です。
製造業におけるDXの成功には、経営層のコミットメントが不可欠です。トップダウンでDX戦略を策定し、全社的な
取り組みとして推進することが重要です。
経済産業省が公開している「DX推進指標」によると、経営者のコミットメントと意思決定は、DX推進の成功
要因として最も重要な要素の一つとされています。
ダイナミックケイパビリティとは、急速に変化する環境に適応し、内部・外部の能力を統合・構築・再構成する
企業の能力を指します。
製造業DXを成功させるには、このダイナミックケイパビリティを意識し、常に変化に対応できる組織づくりが
必要です。
製造業においては、IoTやAI、ロボティクスなどの最新技術を感知し、それらを自社の製造プロセスに導入し、
さらに組織全体を変革していく能力が求められます。
DXを推進するためには、デジタル技術に精通した人材が不可欠です。そういったDX人材は、スキルを持つだけで
なく、会社の業務を深く理解し協力して仕事を進められる人材が求められます。
5.3.1 求められるDX人材のスキル
このようなスキルがあるDX人材は、会社が抱えている問題を解決して新しい価値を創出することに喜びを感じ、
主体的に携わっていく可能性が高いです。
経済産業省の「デジタル推進人材育成の取組について」では、DX人材の重要性と育成方法について詳細な指針が
示されています。
また、IPAのデジタルスキル標準では具体的なスキルや学習項目についても掲載されています。
製造業DXの成功には、データを効果的に収集・分析し、意思決定に活用する能力が不可欠です。データドリブンな
経営を実現することで、生産性の向上や品質管理の効率化、予測保全などが可能になります。
収集したデータを根拠に意思決定することは、会社の属人化を防ぐことにも繋がります。
5.4.2 製造業におけるデータ利活用の具体例
・生産ラインの最適化:センサーデータを分析し、生産効率を向上
情報通信白書の「デジタルデータ活用の現状と課題」では、ビジネスでのデータ利活用の重要性と具体例が
紹介されています。
また、「5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築」でもデータ利活用の進展が取り上げられています。
5.4.3 データガバナンスの確立
データ利活用を推進する上で、適切なデータガバナンス体制を構築することも重要です。それには、データの
品質管理、セキュリティ対策、プライバシー保護などを考慮したガイドラインを策定し、全社的に遵守することが
求められます。
以上の4つのポイントを押さえ継続的に改善を重ねることで、製造業におけるDXの成功確率を高めることが
できます。
ただし、DXは一朝一夕で実現できるものではありません。長期的な視点を持ち、組織全体で粘り強く取り組む
ことが、最終的な成功への鍵となります。
製造業DXを効果的に推進するには、段階的なアプローチが重要です。
以下の4つのステップを踏むことで、スムーズなDX推進が可能となります。
DXを成功させるためには、まず現場の実態を正確に把握し、DXによってどのような変革を目指すのかを全社で
共有することが重要です。
・非効率な作業プロセス
・データの分断や重複入力
・属人化している業務
・リアルタイムでの情報共有の不足
6.1.2 DXのビジョンを策定する
課題分析をもとに、DXによって実現したい姿を具体的に描きます。例えば、下記のようなビジョンを明確に立て
ていきます。
・生産性の向上率
・リードタイムの短縮目標
・不良品率の低減目標
・新規ビジネスモデルの創出
数字やデータを用いて具体的に設定することができれば、意識を社内で共有しやすくなり、目標達成の可能性が
高まります。
6.1.3 全社的な理解と協力を得る
DXの成功には全社的な取り組みが不可欠です。以下のような方法で、組織全体の理解と協力を得ましょう。
・経営層によるDXビジョンの発信
・部門横断のDXプロジェクトチームの結成
・社内勉強会やワークショップの開催
DXを推進するためには、適切な人材の確保とデータの収集・活用が重要です。
・ITアーキテクト
・プロジェクトマネージャー
・UI/UXデザイナー
これらの人材は、外部からの採用と社内人材の育成の両面から確保することが効果的です。経済産業省のDX人材
育成支援策なども活用しましょう。
・データの標準化と一元管理
・セキュリティ対策
・リアルタイムデータ収集の実現
6.2.3 データガバナンスの確立
収集したデータを適切に管理し、活用するためのルールを定めます。
・データ品質の維持・向上
・データアクセス権限の設定
・データ利用のガイドライン策定
収集したデータを活用し、業務プロセスの効率化を図ります。
・プロセスマイニングツールの活用
・ボトルネックの特定
・無駄な工程の洗い出し
6.3.2 RPA(Robotic Process Automation)の導入
定型的な業務プロセスを自動化し、効率化を図ります。
・データ入力業務の自動化
・レポート作成の自動化
・在庫管理の自動化
RPAの導入により、人的ミスの削減と作業時間の短縮が期待できます。内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室
のRPA 導入実践ガイドブックも参考にしてください。
6.3.3 AI・機械学習の活用
より高度な業務効率化のために、AI・機械学習を活用します。
・需要予測の精度向上
・品質管理の高度化
・設備の予知保全
DXの最終段階として、顧客ニーズを取り入れたビジネスモデルの変革を行います。
6.4.1 顧客データの収集と分析
顧客のニーズや行動パターンを把握するために、以下のようなデータを収集・分析します。
・購買履歴
・問い合わせ内容
・製品使用状況(IoTデバイスからの情報)
・SNSでの言及
6.4.2 カスタマージャーニーマップの作成
顧客との接点を可視化し、改善点を特定します。
・各タッチポイントでの顧客体験の分析
・顧客の期待値と実際の体験のギャップの把握
6.4.3 ビジネスモデルの継続的な見直し
顧客ニーズの変化や市場環境の変化に応じて、ビジネスモデルを柔軟に見直します。
・新規製品・サービスの開発
・ビジネスプロセスの改善
・収益モデルの変更
以上のステップを踏むことで、製造業のDXを成功させるための確固たる基盤を築くことができます。
6.4.4 DXの効果測定と継続的改善
DXの効果を定期的に測定し、継続的な改善を行います。
製造業DXは、急速に変化する外的要因や経済環境、人手不足などの課題に対応するために不可欠です。
トヨタ自動車やIHIなどの事例から分かるように、DXは生産性向上や競争力強化に大きく貢献します。成功の
ポイントは、経営主導でDXを推進し、ダイナミックケイパビリティを意識しながら、DX人材の育成とデータ活用を
進めることです。
現場理解と全社での共有から始まり、人材確保とデータ収集、業務効率化、そして顧客ニーズを反映したビジネス
モデルの継続的な変革といったステップを踏むことで、製造業DXを効果的に推進することができます。
DXレポートによれば、中堅・中小企業の約7割がDXに取り組む必要があると考えています。
人材不足や外的要因の変化、顧客ニーズの多様化といった様々な課題に取り組むためには、DXの導入は非常に
効果的だからです。
しかし、企業のDX化は労力も資金も必要となります。特に資金面では多くの企業が足踏みしてしまうところです
が、近年ではDX導入のための助成金支援もスタートしています。
DJKでもお手伝いできることがございますので、導入をお考えの方はお気軽にご相談ください。
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