プリント基板に電子部品を実装する手法としてSMT(表面実装)があります。半導体需要の拡大などを背景に、実装工場では生産性向上の必要性が高まっていますが、それに伴い材料管理の課題も出てきています。本記事ではSMTの工程を解説したうえで、実装工場内の課題を解決する方法などをご紹介します。
SMTとは

SMT(Surface mount technology)とは、「表面実装」とも呼ばれ、
プリント基板の表面に電子部品を実装する方法のことです。少ないスペースでコンパクトに実装できるため、スマートフォンをはじめとする小型製品の基板と相性がよく、電子回路を持つ製品の多くで採用されています。
SMTラインを構成する3つの工程

SMTにはクリームはんだを電極に接着させる
はんだ印刷工程、部品を実装する
マウント工程、炉で熱して部品を固定する
リフロー工程という3つの工程があります。
はんだ印刷工程
粒子状にしたはんだにフラックスを混合することで適度な粘度のクリームはんだを生成し、それをクリームはんだ印刷機(ソルダーペースト・プリンター)と呼ばれる専用の装置で基板上のパッドに塗布する工程です。塗布する際にはメタルマスクと呼ばれる治具を使い、実装部分にのみクリームはんだが印刷されるようにします。
マウント工程
マウント工程は、チップマウンター(表面実装機)という装置で表面実装の部品をプリント基板上の定められた位置に実装する工程です。プログラムに従って、さまざまな大きさや形の部品を高速で配置します。
リフロー工程
リフロー炉という装置にプリント基盤を入れ、基盤全体を熱する工程です。クリームはんだの温度が融点まで達することでいわゆる「はんだ付け」の状態になり、基盤に部品が固定されます。クリームはんだの融点とボンドが硬化する温度は異なるため、適切に温度を管理する必要がございます。
SMT工程における材料供給の課題

近年、半導体の需要が世界的に増大しており、電子部品実装メーカーの多くは生産体制の強化に取り組んでいます。しかし、実装工場では以下のような構内物流に関する課題が顕在化しています。
リールやチップを探すのに時間がかかっている
1つ目は、リール部品やチップなど多くの種類がある部品の中から、
SMT工程に必要な部品を探すのに時間がかかることです。限られた時間の中で増産を実現するには生産性の向上が不可欠ですが、部品の探索に手間取ってしまうと多くの時間をロスし、生産性向上を阻んでしまいます。
先入れ先出しができていない
2つ目は、SMT工程で使用する電子部品の管理を人手で行っているために、
先に入庫した部品から先に使っていく「先入れ先出し」ができていないことです。先入れ先出しができないために製造日の古い部品が在庫として残ってしまい、保管期限を過ぎて劣化してしまうリスクがあります。
人手によりピッキングミスが起きやすい
3つ目は人手による管理のために
ピッキングミスが起きやすいことです。ピッキングミスが発生することで余計な手間や時間がかかることで、生産性低下を招いてしまいます。
実装工場の材料管理を効率化する3つの方法

実装工場における材料管理を効率化するには、人手による管理を脱却する必要があり、具体的な方法として以下3つがあります。
バーコードと連動したSMT資材保管ラックの導入
SMT資材の保管をラックで行っている企業は多いですが、近年はバーコードと連動した保管ラックも登場しています。入出庫時にバーコードで読み取った情報をシステムによってラックにも連動さえることで、材料の入庫はスピーディーかつ正確で、さらに、空いている場所にどこでも入庫できるため、無駄なスペースを取らずに収納できます。出庫時はLEDライト点灯による可視化で、作業の精度を高めることが期待できます。
LOGITOで取り扱いをしている「Neo Lightシリーズ」は、既存の運用ルールを変えることなく導入できるバーコードと連動したSMT資材保管ラックです。SMT資材管理や電子部品リール入出庫時の管理に課題を感じている方は、ぜひ以下よりダウンロードしてご覧ください。
材料タワーの導入
材料タワーは、リール材やチップ部品の入出庫管理を自動化するソリューションです。 材料タワーを導入し、部品入荷後にユニークIDのバーコードを貼付け、登録することでシステムでの管理が可能となり、収納場所の間違いやピッキングミスを解消できるようになります。BOM表をベースとした部品リストをもとに必要な部品や数量を自動で出庫でき、
省人化や段取り時間短縮などを通じて生産性向上を実現します。また、温度管理機能により良好な保管環境を維持できる点もメリットです。
LOGITOでは、半導体の実装工程を行っている工場向けに作られた実装ライン用材料タワー「SMD BOXシリーズ」を取り扱っています。入庫時にUIDを自動貼付することで、収納場所の特定やピッキングの正確さが向上、 スペースの最適活用や正確な在庫管理を実現します。実装工場の材料管理を自動化したい方は、以下よりダウンロードしてご覧ください。
管理システムの導入
材料タワーとあわせて、
SMTラインや上位システムなどの工程・設備・システムと連動する管理システムを導入することも有効です。実装工場内での生産計画に基づいたリール引き当てやSMTフロア内の在庫管理などさまざまな機能を有しており、材料タワーと連携することで入庫情報の取得や出庫指示などを行います。 また拡張性の高いシステムを導入することで、受け入れ登録からAGV連携、後工程などとのシステム連携も可能となり、工場内のコストダウンや省人化に貢献します。
LOGITOの材料管理自動化ソリューション
第一実業が提供する「LOGITO」は、物流自動化の実現に向けて施工や引き渡し、アフターサポートまで一気通貫で支援するソリューションです。先述のバーコードと連動したSMT資材保管ラック・材料タワーや管理システムなど
SMT工程における材料管理を自動化する設備も取り揃えており、時代の変化にフレキシブルに対応できる保管体制を実現し、生産性向上を通じて材料供給の課題を解決します。SMT工程における材料管理の自動化にお悩みの方や他の工程での自動化についてご相談してみたいという方はぜひ以下よりお問い合わせください。
LOGITO 運営事務局
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